【新井社長教え子インタビュー特別編】

松下政経塾現役塾生は、なぜ政治家ではなく実業家を目指すのか?

中田 智博(撮影:相澤實)

5年前に新井社長のもとで働いた教え子の中田智博さん(松下政経塾塾生)にインタビューを行います。一般的な就活ではなく、政治家を志して政経塾に入塾した中田さんがなぜ実業家を志すに至ったのか。新井社長のもとでの学びとともに伺っていきたいと思います。

松下政経塾:松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏が創設した政治と経営のリーダーを育成する機関。これまでに首相をはじめとする数々の政治家・実業家・経営者・研究者などを輩出している。

―こんにちは久しぶりですね。中田さんとは学生時代新井社長(弊社代表取締役CEO)のもとで同じプロジェクトをしましたね。その後、どのような進路を辿ってきたのですか?

お久しぶりです。大学2年生の時に後輩の紹介で新井さんと出逢い、その翌日には会社を手伝っていました。中小企業に対するコンサルティング業務に神川さんと従事しましたが、今思うと何も知らない大学生が扱うにはとんでもない仕事だったなと思います。得難い経験でした。

その後、新井さんの会社からまた別の法人で仕事をした後に、就職活動をしようと考えました。

しかし、しっかりと自己分析をする中で組織には向かないなと思っていたところ、お世話になっている方から「あなたは組織人じゃないんだから」と政経塾を紹介され受験しました。

なんだかすごいところだなあ、と名前は知っていたのですが、入塾試験の結果はまさかの合格、晴れて桜の季節に入塾しました。

―松下政経塾に入塾された、と伺った時には驚きました。「中田が政治家になるんだ!」と。

入塾時には明確に進路を政治家に絞っていました。それまでは「政治家を育成する機関」のイメージしかなかったので。

入塾後、松下幸之助塾主(松下政経塾創設者)の著作や創設の経緯を学ぶと、松下政経塾は「政治経済」ではなく「政治経営」の塾だと知りました。それでも入塾してこの2年弱はどっぷり政治家修行をしていました。都議会議員選挙や地方の市長選挙、衆院選の選挙運動を行い、主に広報や遊説(街頭での演説会や街宣車の運行)、事務の仕事もしました。結構、マイクも握って訴えたり、選挙活動は非日常でエキサイティングですよ。

一方で、自分には政治家という公選職は必ずしも向かないな、とも思いました。

―どんな気づきがあったのでしょうか

私は小学校時代からスクールカウンセラーに精神病院を紹介されるほど、素行が悪く、中高通じて16期か17期連続赤点の社会不適業者でした。現在の松下政経塾でも一番の劣等生です。

一方で、自分には過分なほどの機会もこれまで与えられてきました。

ですから、私は背反した感情、「自分はダメなやつだ」vs「自分はできる」の葛藤が強いのです。いくつかの選挙や活動に行って分かったことですが、自分が活躍できる環境には共通点がありました。それは、「自由」ということです。実際、規範で雁字搦めの政経塾生活ではほとんど鬱状態になりかけたりもしました。

私の友人たちの共通点としても感じるのですが、日本の「規範」や「常識」の非合理性は私たちの才能の制約になってしまってはいないでしょうか。

私は、海外経験はほとんどありませんが、日本の工業生産モデルに基づく同一性意識の高さは日本のイノベーションの阻害要因だと思います。既存を疑い、新しい価値を生み出す。イノベーションのプロセスには私や私の友人たちのような資質・形質の持ち主が不可欠だと思います。

現状の社会システムの中で、私は民主主義の合意形成に達するまでの力量も自信もありません。長い人生の中で、自分がもっと修練を重ねれば政治への挑戦の機会もありましょうが、短期的には実業家というあり方が自分に合うと思っています。日本のイノベーション人材の「伯楽」のような存在になりたいですね。

―現在はどのような活動をされていますか

現在はコミュニケーション・プラニング社でクリエーティブ・ディレクターとしていろいろな勉強をさせてもらいながら、今年4月からの研修の準備をしています。内容が固まったらまたお伝えしますね。

また、千葉県市川市に私の仲間たちの共創拠点も作ろうと準備しています。潜在的イノベーション人材の秘密基地のような場を作りたいなと。そちらはぜひこの記事を読んでくださっている皆さんにも遊びにきていただけると嬉しいです。昼はオフィス、夜はバー空間。「規範と常識からの解放」がテーマです。

―新井(社長)のもとでの経験は何かに生かされていますか

あの時が、人生で一番頑張った時間の一つだったと思います。何せ全く知らないことをやったわけですから。新井さんにも神川さんにもご迷惑をかけました。

一方で、あの時に踏ん張ってよかったと、あの時に学んだことが私の血肉になっているなと感じています。あきらめずに踏ん張って、臨機応変に対応すること、プロジェクトを曲がりなりにも最後まで完遂したマネジメント力や交渉力、決断力は今の自分の大切な財産です。

今、自分が実業家という選択を決意したのも、新井さんの姿を後ろで見させていただいていたあの期間があったからです。一緒にやった神川さんも含めてお二人には頭が上がりません。新井さんが人材育成の会社を始められて、就活生の皆さん向けのプログラムをされているのも、とても人柄にあっていると思います。

新井さんと一緒にいると磨かれますね。在学中にAbuildがあったら即入っていたと思います。新井さんはこれからも一緒にいろんなことをしたい大切なビジネス、そして遊びの先輩です。

中田智博(なかだともひろ)

公益財団法人松下幸之助記念志財団松下政経塾41期生/対話のデザイン研究所クリエイティブ・ディレクター。早稲田大学在学時にスタートアップでプロジェクト・マネージャー、社団法人事務局長COO等を務める。在学中に創設したサークルは1年間で全国テレビに取材される。卒業後、松下政経塾入塾。以来、所定研修や、各級政務秘書/キャンペーンマネジメント業務、地方自治体でのインターンシップ等に従事。2022年より、デザイン・コンサルティング会社対話のデザイン研究所にてクリエイティブ・ディレクターに就任。潜在的イノベーション人材の活躍を通じた日本の成長戦略を研究する。

(インタビュアー:Abuild就活 神川)